Tokyo National Museum 4/4

東京国立博物館 黒田記念館 4/4

東京五輪のためにトーハクができること

1872年に創設された日本最古の博物館、東京国立博物館。通称「トーハク」として親しまれる同館では、複数の展示室でアクタスが提案したインテリアが採用されています。あくまでも展示作品が主役の博物館で、なぜインテリアにこだわる必要があるのでしょうか。2014年12月に完了した黒田記念館のリニューアルプロジェクトの舞台裏をメインに、東京国立博物館 学芸企画部企画課 デザイン室長の木下様とアクタス営業担当の宮本にお話を伺いました。

― 黒田記念館は2015年1月に運営方針も展示空間も大きく変わってリニューアルオープンしましたが、来館されるお客さまの反応はいかがですか?

木下
まずみなさん驚かれるようですね。「この場所にこんな空間があったんですね」と。それに、展示室を一巡して帰ってしまうのではなく、展示室で絵を見て、資料室や映像室にも行ってからもう一度絵を見る方が多い。滞留時間が比較的長くて、黒田記念館で過ごす時間そのものを楽しんでいただいている印象です。昼間は学生さんが展示室の椅子に腰かけて話し合っていたり、夕方には小さな子どもを連れたお母さんたちがたくさん来てくれたり。上野のこの周辺は文化施設の集積地であり、黒田が日本に初めて洋画を伝えた東京美術学校──いまの東京藝術大学のすぐ近くでもありますから、それらをつなぐ地域の拠点がまたひとつ増えたのかなというのは実感していますね。

― これだけすばらしい空間に著名な作品を収蔵していながら、これまでは週に2日しか開放されておらず、施設の存在すらあまり認知されていなかったわけですからね。

木下
もったいないですよね。みなさん文化的価値の高いものを守ろうとか保存するための努力をすることには熱心なのですが、それを見てもらう環境がきちんと整備されないと意味がない。これは博物館や美術館だけでなく日本の観光全体が抱える問題だと思います。こと黒田記念館に関して言えば、展示作品にも建物にも海外に発信する価値があるのに、これまでは発信力が弱かった。それは僕たちの反省すべき点でもあります。

― プロジェクトの内容によっては、トーハクにまた新しい施設ができたり、既存の施設がリニューアルしたりするかもしれない。

木下
そうですね。トーハクは常に新陳代謝を続けています。東洋館や黒田記念館もリニューアルが完了し、今年の10月には平成館に考古展示室がオープンする。次はここを変えたほうがいいといったアイデアがあれば、むしろどんどんいただきたいくらいなんです。今後、新たな情報を発信し、多くの方に来館いただいて豊かな時間を過ごしていただくにあたり、インテリアはひとつのきっかけとなる重要なツールだと考えています。その意味では、これからもアクタスにさまざまな面でご協力いただきたいと思います。

木下 史青
東京国立博物館

1965年、東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、同大学美術学部デザイン科助手、(株)ライティング プランナーズ アソシエーツを経て、1998年より専属の展示デザイナーとして東京国立博物館に勤務。照明、配置、保存など展示に関するプロデュースを主な業務とし、「国宝 平等院展」「国宝 阿修羅展」をはじめとする特別展・総合文化展の展示デザインを手がける。2004年には東京国立博物館の本館リニューアルにおいて平常展示のリニューアルデザインを担当。平成18年度日本デザイン学会年間作品賞を受賞。著書に『博物館へ行こう』(岩波書店)、共著に『昭和初期の博物館建築』(東海大学出版会)がある。

宮本 紳
ACTUS営業

1959年、長崎県生まれ。慶応義塾大学ラグビー部出身。2007年1月、アクタスに入社。教育施設をはじめ、オフィス、リゾートホテル、飲食、教会などコントラクト案件を数多く手掛ける。インテリア業界歴20年強、日々新たな発見がある。

東京国立博物館 黒田記念館

住所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)*時期により変動あり
入館料:一般620円、大学生410円 *黒田記念館は入館無料
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
WEBサイト:http://www.tnm.jp/