オフィス移転の進め方と押さえておくべきポイント【事例を元に解説】

今後の企業成長や職場環境の改善に関する施策のひとつに「オフィス移転」が挙げられます。実際にオフィス移転を検討する場合、移転までの計画をどのように立てて進行していくと、プロジェクトを成功させることができるのでしょうか。

直近で企業のオフィス移転に携わった営業担当の阿部に、プロジェクトの進め方や重視したポイントなどを聞きました。

阿部恵太
株式会社アクタス 法人営業部コントラクトチーム 営業

アクタス法人営業部の営業担当として商業施設や住空間などを中心に幅広いジャンルの物件に携わっている。現在は、オフィス改修の物件も担当しており、2022年にオープンしたアクタスのライブオフィス「THINK PORTAL」を活用しながら、家具什器の提案だけではなく、コンサルティングを含めた幅広い提案を行っている。

1.人材確保や今後の新ビジネスのためにオフィス移転を検討

―阿部さんは、正栄産業株式会社様のオフィス移転に伴う提案を担当しました。移転の背景は、どのようなものだったのでしょう?

阿部
正栄産業株式会社様はハウスビルダーの会社で、これから人材を増やして事業を拡大していきたいと考えていたものの、今のオフィスでは手狭になってしまいそうだという状況でした。そんな折、近くにあったゲームセンターが廃業となってスペースができたそうです。そこで、その物件を購入し、ライブオフィスに全面リノベーションしようという話になり、アクタスに声をかけていただいた次第です。

―なぜライブオフィスという選択をされたのでしょう。

阿部
目的としては大きく二つあって、一つは人材確保です。学生さんなどがインターンで会社訪問されたときに、魅力的な空間で働けることをアピールすることで、人材の確保を進めたいということ。

もうひとつは、新ビジネスのためです。正栄産業株式会社様も今後はオフィス関連の事業を展開していきたいと考えていたので、新しいオフィスをお客様に見ていただき、ご注文の獲得につなげたいという思いがありました。

―オフィス移転を進める際、最初にしたことは何ですか?

阿部
アンケートやヒアリングで、現在の課題などを確認しました。今の働き方に不便がないかや、新オフィスへの要望などを、まずは明らかにしたかったからです。

例えば、チームミーティングをする際の、ちょっとしたミーティングスペースがないのが不便だという話がありました。そこから「新オフィスでは、簡単に集まってミーティングできるようなスタンディングテーブルを設けましょう」という話が生まれています。

また、A1サイズの大きい図面でも広げられるデスクがほしいという設計のメンバーからの希望や、建材などのサンプル、各種資料が多いので、収納を増やしたいといった希望もありました。

このとき私たちは旧オフィスを訪れて、実際の収納の量やデスクのサイズ、配線の状況なども確認しています。現場に赴くと、正栄産業株式会社様が実際にどんな働き方をしているのかがよくわかりますね。

2. 丁寧なヒアリングでニーズを拾い集め、新オフィスを形づくっていく

―オフィス移転の全体の流れを教えてください。

阿部
2023年の年初頃にご依頼をいただき、2月から1ヵ月ほどかけてヒアリングを行いました。そして、全体の方向性などを記載した初回提案書を作成しています。

その後、席数やフロアの使い方などを決めていきます。例えば、今回新たに作る休憩スペースをどこに配置するのかなど、お客様と相談しながら一つひとつ調整を重ねました。お客様が求められているデザインにしっかりと近づけるよう、外装のイメージも作成しています。

2023年5月にオフィスレイアウトが決定したら、今度は商品決めです。新オフィスに設置する什器を、試算を出しながら選んでいきます。最終的なお見積りは6月頃に提出しましたね。

見積りをご了承いただいたら什器を発注し、それが到着したら搬入がはじまります。こうした流れを経て、2024年2月にオフィス移転が完了しました。

今回は2023年2月から2024年2月の12ヵ月かかりましたが、これはあくまでアクタスが携わったフェーズにおける期間です。お客様が計画を立て始めた時期から考えると、足かけ1年以上はかかっていると思います。

3. オフィス事業に活かされるアクタスの強み

―正栄産業株式会社様のオフィス移転がスタートしたのは、アクタスがオフィス事業をはじめてすぐのタイミングでしたね。アクタスがオフィス事業を手掛ける上での強みは何ですか?

阿部
アクタスはヨーロッパの輸入家具を扱って50年以上のノウハウがありますから、ホームユースで使われている家具のデザインをオフィス空間にうまく溶け込ませられるという強みがあります。
以前はオフィス家具というとスチール製が大半でしたが、コロナ禍以降、デザイナーズ家具がラウンジスペースやフリーアドレスのスペースに入ってくるケースも非常に増えてきました。

リモートワークによって家でも働けるようになった今、逆に「会社に行くメリット」は何なのだろうと。オフィスはどういう立ち位置であるべきかを、企業はよく考えるようになったのですね。オフィスを縮小する話がある一方、逆の発想で、今だからこそ増床したオフィスを作ってオフィスの価値を高め、従業員が集まってコミュニケーションをとることを大事にするケースも増えてきています。

こうした背景からオフィスの価値を高めるにあたって、居心地の良さやデザイン性が望まれるわけです。コロナ禍での“おうち需要”では質の良い家具が多く購入されましたが、それが自宅だけではなく、オフィスにも自然に広がってきています。

そういったタイミングで私たちはオフィス事業に参入したので、うまく需要に合致していたといえるでしょう。

それに、アクタスは「ライフスタイルブランド」でもあります。家具はもちろん、植物、小物雑貨、アートなどを全て自分たちだけで提案・調達できます。オフィスにおいても、緑をどこにどう配置するか、ディスプレイ、飾り付けはどうすれば見栄えが良いかなど含め、包括的な空間提案ができる点も強みですね。

4. 床の配線は計画的に、固定席制とフリーアドレス制はニーズによって見極めて

―オフィス移転にあたって、何か気を付けたい点はありますか?

阿部
オフィスの配線には注意が必要です。足元の見栄えにすごく影響が出てきますので。最初からしっかり電源の位置を決めて設計しないと、床中配線だらけになってしまいます。

正栄産業株式会社様の場合、配線関係についても私たちで検討させていただきましたが、すでに配線が決まっているところにコードを納品すると、最終的に床がコードだらけになるのはよく起きてしまう事例です。これからオフィス移転や改修をされる方は、配線に気を配ると、よりすっきりしたオフィスになりますね。

―フリーアドレス制を採用される企業も多いですが、正栄産業株式会社様の場合はどうだったでしょう。

阿部
原則は固定席制を採用し、営業メンバーのみフリーアドレス制にしています。「フリーアドレスのほうが新しいスタイルでメリットが多い」と考えている企業もいらっしゃいますが、働き方によっては固定席の方が使いやすかったり、固定席にすることでデスク周りに収納できたりと、固定席制のメリットも多くあります。よって、働き方や職種に合わせて検討する必要があります。

正栄産業株式会社様の場合は、大きなデスクトップを使うデザイナーさん、図面を広げる機会が多い設計さんなどは、固定席制の方が仕事しやすいそうです。逆に営業は、フリーアドレス制にすることでさまざまなメンバーとコミュニケーションが増えるので、固定席ではなくフリーアドレス制にしました。

―ライブオフィスならではの注意点はありますか。

阿部
ライブオフィスは「人に見せるためのデザイン」を重視していますが、その裏では従業員が通常通り業務を行っています。そのため、来客が業務に影響することがないよう設計や配線を工夫しながら、いかにオフィスを魅力的に魅せるかにこだわる必要があるといえます。そのため、従業員の動線、お客様の動線は強く意識して設計していますね。

5. オフィス移転をスムーズに進めるポイントは「目的の共有」

―オフィス移転をスムーズに進めるためのポイントはありますか。

阿部
まず、社内のみなさんへ、オフィス移転の目的を事前にしっかりと共有いただくことだと思います。今回だと、何のためにライブオフィスにするのか、その考えを伝えていただきました。

オフィス移転は一人だけの意見で進められるものではありませんから、目的意識を最初に共有して、同じゴールを見ながら進めていくのは重要ですね。企業によっては、なかなか社内で意見が一致しない、見解が二転三転するなどのケースもありますが、みなさんの意見を吸い上げて、最終的にベストな提案をするのが大切だと思っています。

次に、スケジュールの立て方です。いつまでに新オフィスでの業務をスタートしたいのかなどは、お客様から伺います。そこから逆算して、いつまでに家具を発注するのか、発注のための予算取りをいつまでに行うのかなどを検討して、お客様に合意をいただきながら進めますね。

そして、移転前の準備も重要です。正栄産業株式会社様の場合は、普段からオフィス移転に関するお仕事をされていたので、非常にスムーズな進行でした。しかし多くの企業にとっては、オフィス移転は滅多にないイベントなので、思った以上に手間取ってしまうこともあるかもしれません。そこで、オフィス移転の前に、要らないものは少しでも多く捨てるなど、物の整理をしておくだけでも違ってきます。複数の部署で同じ資料を持っているなら共有できるようまとめるなど、できることから早めに対応しておくと良いと思います。事前の整理は早めに済ませていただくと、オフィスの移動もスムーズです。

6. 最後に - オフィス移転で価値あるオフィス空間を

近年はコロナ禍の影響もあり、オフィスの価値は大きく変化しています。オフィス移転などの際には、単なる働く場所ではなく、あえて出社して利用する価値のあるオフィスづくりも意識してみてはいかがでしょうか。

オフィス移転の際には、やるべきことを逆算しながら計画を立てていきましょう。早めに従業員の意見をヒアリングして集約し、移転計画やオフィスレイアウトなどに活かすことも大切です。

デザイン性の高いオフィス空間の実現をお考えなら、アクタスまでご相談ください。アクタス本社(新宿)はライブオフィス「THINK PORTAL」となっており、インテリア輸入販売事業などを通じて培ったノウハウが詰め込まれています。オフィスとしての価値を追求したスペースを、ぜひ見学してみてください(要予約)。オフィス移転のご相談も承ります。