Interview with ACTUS

Interview 3 MIDORI NURSERY & KINDERGARTEN 社会福祉法人翠福祉会 みどりこども園 園長 豊田則子 × アクタス営業 インテリアコーディネーター 金平木綿子「子どもたちの記憶に残る空間を」
そんな想いをアクタスに託しました。

NORIKO TOYODA × YUKO KANEHIRA

神戸の閑静な住宅街にある、みどりこども園。地域の子どもたちが集う場所にアクタスが提案したインテリアが採用されている理由には、園長・豊田則子様の子どもたちに対する想いが溢れていました。想いを形にしたのが、普段から会話の端々で豊田様の想いを感じていたというアクタス営業担当の金平。どのようなプロセスで想いを形にしたのか、2人に伺いました。

“子ども”ではなく“社会の一員”として育てたいという想い

“子ども”ではなく“社会の一員”として育てたいという想い
豊田

アクタスとは、みどりこども園が創立した当時からのおつきあいになります。私自身がアクタスのインテリアに囲まれていると、とても落ち着くんです。子どもの頃に暮らした家に置いていた家具に似ているからかもしれません。高校の下校途中にはひとりでアクタス六甲店に立ち寄り、その空間に身を委ねるのが楽しみでした。上質な家具を眺めるのはもちろん、インテリアが作り出す空気や匂いが大好きで…。私、よく金平さんにこのお話をしますよね(笑)。

金平

はい(笑)。普段から、このようなお話を先生から伺って、会話の中からお考えや想いを得ることは多いです。だから、2013年の、みどりこども園リニューアルの際も、プロジェクトの段階から会議に同席させていただいて、先生の想いや考えを業者さんに伝えるお手伝いもさせていただきました。

豊田

リニューアルが動き出したのは同園が10年目を迎えた頃です。政府から「安心こども基金」という補助金が下りまして、設備点検をするとともに、10年間利用するなかで「ここがもっとこうだといいな」と感じるところを思い切って変えてみよう、と。また、同園は今年4月に幼保連携型認定こども園へ移行したのですが、移行を考え始めたのもこの頃です。保育園から幼保連携型認定こども園に切り替えるにあたり、どのような空間が必要なのかと思案している時期でもありました。

“子ども”ではなく“社会の一員”として育てたいという想い

― リニューアルはどのようなコンセプトで動き始めたのですか?

豊田

はじめはなかなか形にならなかったんです。まずは年齢別、空間別に細かく分けて「この空間にはこういうものを」と考えをひとつずつ整理することから始まりました。それを元に金平さんから提案していただき、「これはどう思われますか?」と聞いてもらってコンセプトに落とし込んでいく、という感じでした。

金平

まずは先生のお考えを出し切っていただくことが大切だと考えました。目指している保育のコンセプトや親としての目線、そして先生は子どもを“子ども”ではなく“社会の一員”として育てたいという想いをお持ちだということは普段の会話から把握していました。私自身、先生の想いに共感することが多いので、「これは、こういう意図なのかな」と想いを巡らせながら提案させていただきました。

豊田

金平さんに提案していただく中で「これじゃない」はすぐわかるのに、「こうしたい」を伝えるのがすごく難しかったのを覚えています。

“子ども”ではなく“社会の一員”として育てたいという想い
金平

それは、やはり「想い」だからこそだと思うんですよ。私は、先生の想いを形にしていく役割だと思っているので、普段の何気ない会話の中からも先生のイメージを端々に得ていました。例えば、先生は子どもの頃から本物に触れていて、それがとてもいい思い出として残っているから「子どもの頃から本物に触れてもらいたい」という想いがおありだということを提案の基本にしていました。こうしたブレストにはかなり時間をかけましたね。

「円形にするのは決めていた」記憶に残るライブラリーに

「円形にするのは決めていた」記憶に残るライブラリーに

― 具体的にはどのようなアイデアが形になったのですか?

金平

先生の想いがいちばんこもっているのは「ライブラリー」だと思うんですが…。

豊田

そうですね。ライブラリーは、子どもたちの記憶に残るような、本に囲まれた空間を作りたかったんです。それで、「円形にしたい」ということだけは決めていました。

金平

ライブラリーは、リニューアル前もとても印象的な空間でした。当時は四方の壁が天井から本棚になっていて、園内に入ったときにまず目に入ったのがその本棚だったんです。これは、リニューアル後もみどりこども園さんが持つひとつの空間として“売り”になるのでは、と感じていました。

豊田

想いとしては、卒園した子どもたちが大人になってからも、「丸い図書館があって、天井まで本が並んでいて好きなものが読めたな」という風に思い出してもらえる空間を作りたかったんです。なぜなら、私自身が「この空間が好き」と感じるのは、私が生まれ育った空間がベースになっているからです。家もそうですし、私が通っていた高校は北欧インテリアが使われていて、本物の家具に囲まれて学べるとは、なんて幸せなことなんだと子どもなりに感謝の気持ちでいっぱいだったことを今でも覚えていて。子どもの頃に見たり触れたりしたものって、ずっと覚えているものだと思うんですよ。

「円形にするのは決めていた」記憶に残るライブラリーに

― 中央の丸いスツールもインパクトがありますよね。

豊田

子どもたちが本を読んだり、テレビを観るときに座れるものを、ということで作っていただきました。お月様のようでもあるし、葉っぱのようなイメージもあります。この形も、子どもたちの記憶にも残るんだと思うんですよ。スツールは、デザイン性や機能性はもちろんですが、安全面にも配慮してもらいました。

金平

スツールは、段差のある2パーツに分かれていて、座ることがメインの下段のスツールはやや柔らかめに、上段のスツールは立ち上がっても大丈夫なようにやや硬めのクッションを採用しています。

豊田

段差をつけていただいたことで、子どもたちはお行儀よく座るようになりましたね。それにこのサイズが絶妙で、ひとクラスの子どもたちが全員座れる大きさなんです。

金平

この空間に対して、どれくらいのサイズが適切なのかは結構悩みましたね。小さくなるとクラス全員が座れないし、大きすぎるとライブラリーの動線が確保できなくなりストレスを感じてしまうので。それに、これほど大きなインテリアになると存在感があるので、色もかなり考えました。みどりこども園さんのテーマカラーのグリーンではありますが、主張しすぎないように配慮しています。

「円形にするのは決めていた」記憶に残るライブラリーに
豊田

テレビを観ているときも、前の列、後ろの列に分かれてちゃんと並んで座っていますよ。後ろの列になっても、目線が高くなって特別感があるみたいです(笑)。

金平

子どもたちが鈴なりになってスツールに座っているのを見ると「ちゃんと使っていただいてるんだな、うれしいな」と頬が緩みます(笑)。

「これじゃない」を引き出しながらたどり着いた室内イメージ

「これじゃない」を引き出しながらたどり着いた室内イメージ
豊田

ランチルームのテーブルも作っていただいたものです。テーブルは普段は円形にしていますが、カリキュラムに合わせてテーブルの形を組み替えられるようにお願いしました。

金平

園舎も丸い形をしていますし、円形だと子どもたちが向かい合って食事ができます。また、大人数が利用する際は、組み替えてS字型に繋げてもらうと会議するときなどにも便利です。空間的にも、S字が繋がってヘビのような形のテーブルがあるのは楽しいですし。椅子は、先生の「子どもを“社会の一員”として育てたい」という想いから、子ども用の椅子ではなく大人が使う椅子を。「本物を与える」という考えに応えてデンマークのインテリアブランドのものを採用しました。

「これじゃない」を引き出しながらたどり着いた室内イメージ
豊田

外食するとき、レストランに子ども用の椅子がないことも多いんです。だからしつけの一環として、両足が床につかない椅子に座ってもお行儀よく食事できるようにしたい、という想いがありました。

金平

椅子の色も3色にしたことで、自然と子どもたちの個性が出ますよね(笑)。「今日は緑色に座ろう!」とか。

豊田

椅子を片付けるときも、同じ色の椅子を重ねる子もいれば、色のバランスを考えて並べたりする子もいて(笑)。同じ色なら何も考えないんでしょうけれど、色が違うことによって自然と配色を考えることができる。そんな環境の中で育まれるものがあるのかな、と思っています。

― 隣接の「箕谷児童館」でも子どもたちがのびのびと遊んでいました。

豊田

「箕谷児童館」のエントランスは、まずイメージを金平さんに相談して、最初にいただいた提案で話が進んだのですが、途中で「何かが違う」と感じてしまって。

「これじゃない」を引き出しながらたどり着いた室内イメージ
金平

以前はテーブルと椅子が置いてあったので、最初はその延長線でテーブルと椅子がある空間を提案したんです。でも、ブレストする中で先生から「児童館は、小学生だけでなく赤ちゃんも来館するので、いろいろな年代の子どもたちが使えるような空間にしたい」というお話をいただき、「先生が思い描いているのはテーブルと椅子がある空間ではないな」と。それで、使い方から内容までをガラッと替えて「公園」をイメージし、中央にソファにもテーブルにも使える家具を配置しました。緑に囲まれた公園のような空間が室内にあると子どもたちもリラックスできますし、家に帰る前に思い切り遊んで帰ることもできます。すると先生が「こういう空間が作りたかった!」と言ってくださって。

豊田

「まさにこれです!」と(笑)。これと決まったら、そこからは早かったです。

金平

私も、まずは提案書を出してみて、先生から「ノー」をどんどん引き出しながら、イメージに近づけられるようになったかなと思います。最近では提案書を出したとき、表情を見るだけで「これ!」なのか「これじゃない」のかがわかります(笑)。

地域財産と思ってもらえるような子育て拠点に

地域財産と思ってもらえるような子育て拠点に

― 「面談室」を拝見しましたが、突然世界観がガラリと変わりますね。

豊田

「面談室」は、もともと実は倉庫なんですが、応接間のようにしてもらえるようにお願いしました。床もヘリンボーン張りにしていただいて、照明も温かみのあるペンダントライトにしていただいて。

金平

窓がなくとても狭い空間なので、暗くなりすぎないようにカラフルな色を意識しています。天井が低いので圧迫感がないように、あえて子ども用のセブンチェアを採用しました。やはり、ここに来る保護者の方は先生に悩み事を打ち明けることが多いと思いますので、少しでも和んでいただける空間になるように意識しています。

地域財産と思ってもらえるような子育て拠点に
豊田

「面談室」には保護者の方以外にも、近隣にお住まいの方も子育て相談にいらっしゃるんです。以前は「面談室」がなく、事務所で面談を行っていたんですが、なかには誰とも顔を合わせずに相談したいという方もいますので、そういう方々にも安心して利用していただいています。

― 今後のみどりこども園は、どのように発展していきますか?

豊田

「地域の子育て拠点になるように」という理念として掲げているのですが、今年4月から幼保連携型認定こども園へ移行し、ますます地域財産になるような存在でなければならないと感じるようになりました。子どもたちや保護者の方はもちろん、地域の方々にも「この空間が好きだな」と思ってもらえるようなものを提供していきたいという想いが強くあります。そのためには常に新しいものを取り入れ、地域の皆さんに提供していきたいので、今後も力になっていただきたいです。そして何より私自身がアクタスの家具に囲まれていると落ち着くので、ずっとそういうなかで仕事ができたらと思っています。

地域財産と思ってもらえるような子育て拠点に
金平

本当にありがたいお言葉です(笑)。先生にはいつも勉強させていただいてばかりです。先生のお話しを伺っていますと、インテリアは「モノ」ではなく、やはり「こういう風に使いたい」を形にすることだと改めて感じます。その想いを形にするお手伝いをするのが私の使命であり、幸せであると思います。

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