オフィス照明の選び方と最適な設置例

オフィスの照明は「健康経営オフィス」を目指す上で欠かせない要素です。照明にこだわることで、より快適なオフィスに近づけるだけでなく、省エネやデザイン性の向上など、さまざまなメリットがあります。理想的なオフィスに近づくために、有効な照明計画を立ててみましょう。

今回は、オフィス照明の選び方や最適な設置例などを紹介します。

オフィス照明の基本とメリット

オフィス照明は、空間の特性を踏まえた上で、理想が実現できるよう計画的に設置していきましょう。まずは、照明計画の基本と、照明にこだわるメリットについて解説します。

健康経営に貢献する照明計画

照明計画とは、オフィスの広さ、方角などに考慮しながら、どんな空間にしたいかに合わせて照明の種類や配置、光量に関するプランを立てることです。

オフィスの照明計画を考える際は「健康経営」にも配慮しましょう。

健康経営は、経済産業省によって「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されている言葉です。特に、健康経営を実現できる職場環境のことを「健康経営オフィス」とし「健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のこと」と定義しています。

社員が健康的に働くためには、照明や光に対して快適性を感じられるかも重要な要素です。執務室では業務に集中しやすい照明、休憩室やカフェスペースではリラックスできる照明など、健康経営オフィスにつながるような照明計画を考えましょう。

省エネとオフィスデザインの向上

オフィスの照明器具を工夫することで、消費電力の減少も期待できます。例えば、LED照明を積極的に導入したり、人感センサー式のライトを取り入れて不在時に照明を消したりすれば、快適性を損なわずに省エネを実現できます。特にLEDに関しては、これまで一般的に使用されてきた白熱電球や蛍光灯に比べて、大幅に消費電力を削減できるでしょう。

また、照明によってオフィスデザインを向上させることも期待できます。照明の配置や光の色などによって、空間の雰囲気は一気に変わるもの。照明にこだわり、おしゃれなオフィスデザインが実現できれば、社員のモチベーションが上がるだけでなく、来客者にもプラスの印象を与えられるでしょう。

照明器具の種類と特性

より理想的なオフィスに近づくために、照明器具の種類や特性についても理解しておきましょう。

蛍光灯とLED照明はどちらを選ぶ?

蛍光灯に比べ、LED照明は寿命・消費電力を大幅に抑えることができます。具体的には、蛍光灯の寿命が約1万3,000時間であるのに対し、LED照明は約4万時間の使用が可能です。消費電力に関しても、LED照明は蛍光灯の20%〜半分程度まで抑えられます。

値段に関しては、LED照明のほうが少々高い傾向にあります。また、蛍光灯からLEDへ変更する際に工事が必要となることも。しかし、寿命の長さや消費電力量を考慮すると、長期的な視点ではLED照明のほうが、コストパフォーマンスが高くなる可能性があると言えるでしょう。

色温度による空間の印象

光は色温度によって色が変化し、人に与える印象も変化します。オフィス照明を計画する際、色温度による違いを押さえておくと、より理想的な空間に近づきます。

例えばオレンジ系の暖色の「電球色」は、落ち着いた印象を与えるのが特徴です。リラックスさせる空間に適しているため、休憩室やカフェスペースなどに使用されます。

日光の自然な明るさに近い「昼白色」は、どんな空間にもなじむ汎用性の高さが特徴です。自然な明るさにしたい場合や、特にこだわる必要がない部分に使用される傾向にあります。

他の2色に比べて最も明るいのが「昼光色」です。青白い光で、手元までしっかりと明るく照らします。執務室など、業務に集中すべき場所で活用されます。

照明計画の例と設置のポイント

ここからは具体的な照明計画の例と、設置する際のポイントを紹介していきます。

オフィス空間ごとの照明選択

オフィスには、空間ごとに設置目的や実現したい雰囲気があるはずです。照明に関しても、それらに適したものを一つ一つ選択していきましょう。

・エントランス

オフィスを印象付けるための大切な空間のため、特にこだわりを持った照明計画が必要です。明るくすっきりとした印象にしたい場合は昼白色に、落ち着いた空間として印象付けたい場合は電球色を有効に活用します。

・会議室

参加者の顔や資料がしっかりと見えるだけでなく、モニターなどの画面も見やすいような照明が求められます。シーンに合わせて照明の種類や明るさを選択できるような形が理想的でしょう。

・執務室

手元までしっかり見える照明は業務がしやすい一方、長時間浴びすぎると目や脳が疲れやすい。「目に優しいタイプの照明を選ぶ」「必要な場合のみ手元に昼光色が使えるようにする」など、工夫すればより健康経営オフィスに近づきます。

・オープンスペース

コミュニケーションを促す場所として、電球色や、自然な昼白色を中心に照明を設置するとリラックスしやすいです。天井からのライティングだけでなく、雰囲気のある間接照明を取り入れるのもおすすめです。集中して業務を行う執務室と照明の雰囲気を変えることでメリハリがつけられるでしょう。

照明制御の利点

照明による省エネを実現したい場合は、照明制御システムを積極的に導入するのもおすすめです。具体的には、以下のような機能が挙げられます。

  • 人感センサー:人の不在を感知し、明るさ照明や消灯を行う
  • タイマー:指定した時間に点灯・消灯を行う
  • スケジューリングによる照度調整:時間に合わせて明るさを変更する

照明制御システムの導入により、省エネに貢献しながら、光熱費のコストカットも期待できます。また、時間に合わせて明るさを変更するスケジューリングは、社員を長時間眩しい光にさらすことを避ける健康的なメリットもあります。

まとめ - オフィス照明選びの成功へ向けて

快適なオフィス環境は、健康経営の実現に欠かせないものです。そして、快適なオフィス環境を作るためには、オフィス照明にこだわる必要があります。オフィスで長い時間を過ごす社員が心身ともに健康に過ごせることに加え、省エネも実現できる照明計画を立て、オフィスを理想の空間へと近づけていきましょう。