ETOWA KASAMA 2/2

エトワ 笠間 後編

あの空間での過ごし方とその居心地までを伝えたい

コスモスイニシアが立ち上げたアウトドアリゾートの新ブランド『ETOWA(エトワ)』。その第一弾である『ETOWA笠間』は、茨城県笠間市の愛宕山の上にある、10棟のキャビンとテント6棟、アウトドアバーやファイヤープレイスから成るグランピング施設です。アクタスはそのデザイン監修を務めました。コスモスイニシアの田片様と、アクタス営業の上久保、デザイナーの相田に、今回のプロジェクトに込めた想いを伺いました。

田片 株式会社コスモスイニシア R&D部門 新規事業推進一課 チーフ
上久保 株式会社アクタス 法人営業部 アコモデーションチーム 営業
相田 株式会社アクタス 法人事業本部 法人営業部 デザイナー

ーYoutuberのNAMIKAZUさんがエトワ笠間での宿泊体験をレポートするYoutube動画は、アクタスからの提案でした。

相田
NAMIKAZUさんはインテリア関連やファッション関連の動画をよく配信しているYoutuberで、私は彼のチャンネルを以前からよく視聴していたんです。エトワ笠間の20代後半から30代というターゲットに彼の動画の視聴者が合致していることと、NAMIKAZUさんは日頃からご自身の暮らし方を伝える動画も配信していて、彼のようなライフスタイルに憧れる同年代の方は多いのではないかと考えたんです。NAMIKAZUさんなら、エトワ笠間での「憧れの暮らしの体験」を魅力的に伝えてくれると思いました。

上久保
アクタスの納品事例のプロモーションをYoutuberの方と一緒に行うのは、アクタスとしても初の試みでした。

相田
これまで私たちアクタスがお手伝いしてきた事例は、実績として写真には収めていますが、そこで「どういう過ごし方ができるのか」までは、あまり伝えられていなくて。今回は、あの空間での「過ごし方」まで考えてつくった事例だったので、そこまでを伝えたいという想いがありました。

田片
今回のプロジェクトでは、SNSや口コミなどでのPRにも力を入れたかったので、PR面でもアクタスの力をお借りすることができたのはありがたかったです。

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ーアクタスチームもエトワ笠間に宿泊したそうですが、実際に過ごしてみてどうでしたか?

上久保
完成後の試泊で、アクタスの仲間と一緒に泊まりました。お酒を飲みながらいろんな話をして。とにかく、ものすごく話しました。普段は忙しくてなかなか深い話をする機会がないのですが、あの空間で過ごしているからこそ生まれた会話だったのかなと思いますね。

相田
私はつい先日、学生時代の友人たちと5人でプライベートでも行きました。都内から近いことと、金額がそこまで高くないこともあって、すぐに予定を合わせることができました。みんなでウッドデッキでごはんを食べて、カードゲームやジェンガをして、学生時代に戻ったような時間を過ごしました。社会人になってからはなかなかゆっくり会える機会がなかったので、今の仕事のこととか、プライベートの近況だとか、いろんな話をして。夜はファイヤープレイスに行って、焚き火を見ながらマシュマロを焼いて。たまたまアウトドアバーに居合わせた家族連れの方々とのコミュニケーションも生まれたりして、それも楽しい体験でした。

田片
そういった会話のシーンが生まれていることが、とてもうれしいです。そもそも“エトワ”というこの事業のブランド名は、「会話」という漢字を音読みしてつくったものなんです。「会話」もこの事業で大事にしていたテーマで、いつもとは違う環境で、久々に会った友人との話が弾んだり、仕事の仲間と立場を超えて深く語り合ったり、そういったシーンが生まれるきっかけがさりげなく用意されている場所にしたいと思っていました。

上久保
ウッドデッキのガスグリルもそうしたきっかけのひとつですよね。

田片
屋外で食事をするからこその、気分が盛り上がる体験を用意することも、会話のきっかけをつくりたいという想いからです。雨天時でもそうした体験ができるように、ウッドデッキにはルーフをつけていて、グランピングエリアのお客様が雨天時に食事を召し上がるフロント棟2階にも、屋内では普段使わないようなガスグリルを置いて、そこで調理しながら食事を楽しんでいただけるようにしています。

ーフロント棟の2階はどんな「居場所」として計画したのですか?

田片
2階については、新型コロナウイルスの影響もあり、まだ積極的な活用をしていないのですが、空間をクローズしているわけではないので、現状では雨天時などにテント棟のお客様に食事を召し上がっていただく場所として利用しています。今後は、リモートワークをする場所として使っていただいたり、音楽会を開いたり、レンタルスペースとして地元の方々にご利用いただくことも考えています。地域に暮らす主婦の方があそこでパン教室を行うといったシーンも、相田さんが作ったコンセプトシートに描かれていたものでした。エトワの事業はこれからがスタートなので、新たなコンテンツを用意したり、時勢に合わせて変えていく必要があります。そうした時に、提案するシーンやその場の在り方について、引き続きアクタスの力をお借りしていければと思っています。

「暮らしをつくる」という同じ志のもとで

ーカフェで構想しているシーンが実現したら、田片さんが当初からイメージしていた「暮らしの延長線上にある場所」としてのエトワ笠間の意義が、また広がりそうですね。

田片
何年か先には、自然が身近にある場所で過ごすということが、今よりももっとしやすい働き方や暮らし方になるのではないかと思っています。昔と比べると、今はグランピングやサーフィン、サップ、キャニオニングなど、外でできる遊びの数が増えていますよね。外での遊びの種類が増えればやってみたいと思う人も増えますし、余暇時間が増えていくことになれば、一層外への興味は高まっていくでしょう。エトワが提案できる過ごし方も、変わっていくと思います。

ー余暇時間の過ごし方にバリエーションが増えると、日常の暮らしと住まいのほうにも影響を与えていきそうです。

田片
そうですね。家は家、職場は職場、遊びは遊び、といった切り分けが、緩くなっていくかもしれません。そういうライフスタイルを受け止める空間も、コスモスイニシアとアクタスとでつくっていけたらいいなと思います。

ー今回のアクタスとの取り組みを振り返ってみて、いかがでしたか?

田片
アクタスと一緒にやることができて本当に良かったと感じたのは、家具を配置してその空間が仕上がった瞬間でした。提案書を通じて、「こんなコーディネートをします」というのはわかっていて、その時点でも「素敵な空間ができそうだ」と想像できていたんですが、それがリアルになった時、想像を超えてくるんです。あの時の感動は大きかったですね。

上久保
そう仰っていただけて、私たちもうれしいです。

田片
あとは、提案力とその提案を実現する力ですね。インテリアの力を使って、我々だけでは思い至らないような、気づきがある空間をつくり上げてくれる。居心地の追求やシーンの提案など、インテリアをコーディネートするだけにとどまらない仕事をしてくださることがアクタスの強みであり、事業のパートナーとして頼りにしたいと思う理由です。

上久保
アクタスとしても、近年はホテルのインテリアコーディネート案件が増えたり、自社でリノベーション事業を始めたりと、事業範囲を広げていく中で、コスモスイニシアがやろうとしていることと、私たちアクタスがやろうとしていることには、重なる部分が多いなと感じていて。

田片
去年の「アクタス博」(※1)で、アクタスの社員の方が考えた「アクタスの未来予想図」という展示(※2)をしていましたよね。そこに書いてあったことが、インテリアの会社っぽくないというか、不動産事業と言っていいようなビジョンも書いてあって。

上久保
そうですね。「学校をやりたい」とか、「アクタスホテル」とか、それこそ「不動産事業を立ち上げたい」とか、みんな思い思いのことを好き勝手に書いたんですけれど(笑)。

田片
弊社の社員も同じようなことを考えていそうだと思うビジョンがたくさんありました。偶然かもしれませんが、上久保さんが仰るように、目指していることに重なる部分は多いのかなと思います。

ー住宅か商業空間か、インテリアか建築か、というハードではなく、コスモスイニシアもアクタスも「暮らしをつくる」ことを考えている会社だからかもしれないですね。

上久保
そうですね。インテリアという括りでは私たちの事業は括れないので、アクタスでは自分たちの会社を「ライフスタイルカンパニー」と称しています。

田片
私たちコスモスイニシアも、不動産事業はしていますが、経営理念は「Next GOOD お客様へ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を」。「不動産」という言葉は一度も出てこないんです。だからこそ、今回の「エトワ」のような事業を立ち上げたりしているわけでして。「ライフスタイルカンパニー」っていい肩書きですよね。いろんなことがアクタスに相談できそうです。

上久保
コスモスイニシアとはさまざまな新しいことを一緒にやらせていただくことができて、私たちもありがたいと思っています。

田片
アクタスの力を借りたら、もっともっとできることが広がると思います。お客様一人ひとりの体験はもちろん、社会に対しても。図書館や美術館、空港など、社会やお客様が求める一歩先の事業もアクタスと取り組めたら、世の中をより楽しくする提案ができそうな気がします。

※1 2019年に行ったアクタス50周年のアニバーサリーイベント
※2 「アクタス現役スタッフ700人が好き勝手に考えた、アクタスの未来予想図」