ベンチャー企業のための理想的なオフィス選びとデザインの秘訣

大企業とベンチャー企業では「理想的なオフィス」のあり方に違いがあります。ベンチャー企業ならではの理想的なオフィス選び・レイアウトを検討していくことが、その後の事業成長を左右する可能性もあり得ます。今回の記事では、そんなベンチャー企業のための理想的なオフィス選び、デザインの秘訣について解説します。

ベンチャー企業にとって理想的なオフィスタイプは?

ベンチャー企業とは、一般的に「新しい製品やサービスを生み出す会社」「設立年数の若い会社」のことをいいます。そうしたベンチャー企業がオフィス選びをする際、候補となるオフィスタイプとしては、以下のようなものがあります。

理想のオフィスデザインを実現するなら賃貸オフィス

賃貸契約を結び、主にビルのワンフロア(1つの階全体)や一部の区画を利用するのが賃貸オフィスです。ベンチャー企業だと社員数はまだ多くないケースが多いものの、成長を見越してある程度スペースに余裕のあるオフィスを借りておく方法もあります。

自社ビルと違って制約を受けることはありますが、ある程度自由度の高いオフィスデザインやレイアウトが実現できるでしょう。作り込まれたオフィス環境は、企業文化の醸成の一助になることもあります。

同じ賃貸オフィスでも、前借主の内装や家具がそのまま残っている「居抜きオフィス」もあります。自由度は下がりますが、最初の設備投資にかけるコストは抑えられます。

初期費用を抑えたいならコワーキングスペースやレンタルオフィス

事業成長を優先するため、ベンチャー企業はオフィス開設の初期費用を抑えながら、運営費用のコストパフォーマンスを重視したいという場合もあるでしょう。

そうであれば、事業開始直後の時期に、コワーキングスペースやレンタルオフィスを活用することも有効でしょう。場所さえ借りればすぐに業務を始められるほか、変化しやすい会社の成長規模にも柔軟に対応できます。共用の会議室などを備えた物件もあります。また、他社の人間やフリーランス、起業家なども多く利用しているため、コネクション作りやビジネスマッチングの機会にもつながるでしょう。

ただ、コワーキングスペースやレンタルオフィスには、セキュリティ面など懸念点もあります。そのため、スタートアップ時から軌道に乗るまではコワーキングスペースやレンタルオフィスを活用し、事業規模が大きくなったタイミングで賃貸物件などにオフィスを移転するのもおすすめです。

社員数が少ない場合はバーチャルオフィスという選択肢も

バーチャルオフィスとは、仮想空間のオフィスとして住所・電話番号のみを貸し出すサービスのことです。法人登記代行、郵便物の受け取り・転送などの基本機能に加え、オプションとしてミーティングスペースの貸し出しなどのサービスがついている場合もあります。

最大のメリットは、低コストでありながら、会社を運営する上で必要な最低限のサービスが受けられる点です。社員数が少なかったり、フルリモートの社員ばかりであったりする企業がよく利用します。

ベンチャー企業が軌道に乗るまでの期間や、起業したばかりでオフィスがないものの、自宅住所を知られたくない場合などにも適しているでしょう。

ベンチャー企業が意識したいオフィスデザインとレイアウト

賃貸オフィスの利用が決まるなどし、オフィスデザイン、レイアウトについて検討する際、どのような点を意識すれば良いのか、いくつかのポイントを挙げておきましょう。

企業イメージを反映したデザインを意識する

ベンチャー企業は特に、顧客やクライアント、求職者などに対して企業イメージをアピールすることが求められます。オフィスデザインについても、企業文化を表現するものの一つとして重視すると効果的です。企業イメージがよく反映されたオフィスであれば、社員のモチベーションアップも期待できます。採用活動時にもオフィスのイメージを積極的に公開しておけば、会社の方向性に合った人材の目に留まりやすくなるかもしれません。

例えば、デザインにコーポレートカラーを取り入れたり、企業の個性やイメージに合わせたウォールアートを取り入れたりすることで、企業の目指す方向性や文化を表現している会社もあります。また「風通しのよさ」を掲げている場合は、ワークスペースをコミュニケーションが取りやすいようなレイアウトにするなど、企業文化を体現したデザインを意識することが重要です。

メリハリをつけて働ける環境を意識する

オフィスのレイアウトやデザインは、従業員の作業効率にも影響します。メリハリをつけて働けるよう、気軽にリフレッシュできる空間と、集中して仕事に取り組める空間の両方を用意するのがおすすめです。

具体的には、執務室とは別にカフェ・ラウンジスペースを用意することで、従業員が気軽にリフレッシュできる場を提供できます。執務室とのゾーニングを行えば、互いに干渉しあうことなく過ごせるでしょう。

また、執務室も自社の業務特性や雰囲気に合ったレイアウトにすることで、作業効率をアップさせることができます。例えば、従業員同士のコミュニケーションが頻繁に発生する部署ではオープンなデスク配置に、個々に集中して作業を行う必要がある部署には、個別ブースを設置したり、長時間利用しても疲れにくいデスク環境にしたりと、部署ごとの業種に合った工夫を行うと効果的です。

コミュニケーションの活性化を意識する

イノベーションが期待されるベンチャー企業は、新しい発想や創造性を発揮できるようなオフィスレイアウトを追求することも重要です。創造性の促進に欠かせないのが、従業員同士の交流やコミュニケーションです。

特に、新たな発想やアイデアは、リラックスできる環境でのコミュニケーションでこそ生まれやすい傾向にあります。オフィスレイアウトを考える上でも、オープンなミーティングエリアを設けたり、カフェ・ラウンジスペースをコミュニケーションがとりやすいレイアウトにしたりと、さまざまな工夫が可能です。近年はフリーアドレスのオフィスも人気です。

より豊かな創造性を発揮できるよう、コミュニケーションを活性化できるレイアウトにもこだわってみましょう。

ベンチャー企業のバックオフィス戦略

ベンチャー企業ならではの、バックオフィス戦略についても考えていきましょう。

効果的なチーム管理とコミュニケーション

チームの生産性を高めるためには、マネジメントや管理が行き届く状態を維持することも重要です。特に、チームメンバーの一人一人が自分の力を発揮できているか、そしてお互いにコミュニケーションが積極的にとれているかを管理することが求められます。

そうしたチーム管理が行いやすいようなオフィスレイアウトを考えることも重要です。社内コミュニケーションがとりやすく、外部からも目が届きやすいようなオープンなレイアウトを検討することも、重要な戦略の一つといえるでしょう。

企業文化の醸成とその重要性

オフィスレイアウトで企業文化を表現し、従業員に浸透させていくことは、業務効率や従業員の満足度にも直結します。

企業文化を理解し、共感できる状態で働ける従業員は、業務にも前向きに取り組める傾向にあります。共感できる文化が表現されているオフィスであれば居心地もよく、ポジティブな雰囲気が生まれるでしょう。企業文化の醸成・レイアウトへの表現は、そうした前向きな空気を生み出すという意味でも、重要な役割を果たすのです。

まとめ - ベンチャー企業が成功するオフィス選び

ベンチャー企業にとってのオフィス選びは、事業の成長段階に合わせて柔軟に検討することが重要です。いざオフィスを開設する際は、コスト、デザイン、バックオフィス戦略など、幅広い視点から理想的な環境を検討していく必要があります。長期的な視点で企業の将来や成長を見据えながら、ベストなオフィスデザイン・レイアウトを検討しましょう。