フリーアドレス導入ガイド!メリットデメリット総まとめ
従来のオフィスでは、一人ひとりのデスクを1台ずつ用意し、社員は決められた自分のデスクで仕事をするというスタイルが主流でした。リモートワークなど働き方の多様化が進む近年では、そうしたオフィスのあり方を見直す企業も増えています。その中でも人気なのが、個人のデスクを決めない「フリーアドレス」です。グループアドレスという、会社全体ではなく部署内でフリーアドレスにするケースもあります。この記事では、フリーアドレスの魅力や注意点、そして導入のコツを詳しく解説していきます。
フリーアドレスとは?
1990年代から日本でも導入する企業が現れはじめた「フリーアドレス」。しかし、このワークスタイルの実際の定義や導入の背景について理解していない人も多いかもしれません。ここではまず、フリーアドレスの定義と導入背景について詳しく見ていきましょう。
フリーアドレスの定義
フリーアドレスというのは、文字通り「自由な席」を意味します。従来のオフィスでは社員一人ひとりにデスクを1台ずつ設置し、社員は決められた席で毎日仕事をこなすというワークスタイルが一般的でした。
一方、フリーアドレスでは、社員は固定された自分専用の席を持たず、日替わりで好きな場所に座ったり、その日の業務に最適な場所を選んで座ったりが可能です。図書館にある閲覧スペースをイメージすると分かりやすいかもしれません。
このフリーアドレスというワークスタイルは、アメリカのシリコンバレーをはじめ、多くの先進企業でも採用されています。
フリーアドレスの導入背景
1990年代から日本でも導入がはじまったフリーアドレスは、もともとはオフィスのスペースやコスト削減を目的として採用されていましたが、近年はその目的も少しずつ変化しています。近年のフリーアドレス導入の背景は、主に以下のような要因が考えられるでしょう。
働き方改革の推進:
リモートワークのような出社を必要としない働き方など、ワークスタイルの多様性が進む中、柔軟な働き方を実現するための一環として、フリーアドレスが採用されるケースがあります。
IT技術の進化:
クラウド技術や高速Wi-Fiなどの普及により、社員はノートパソコン1台あれば、どこからでも仕事ができる環境が整備され、場所に縛られない働き方が可能になりました。こうしたIT技術の進化もまた、フリーアドレスを後押しする要因のひとつになっています。
フリーアドレスのメリット
フリーアドレス導入の最大の魅力は、その柔軟性にあります。ここからは、フリーアドレスを導入することで得られる効果、具体的なメリットなどを詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションの活性化
従来のオフィスでは、社員一人ひとりの座席が固定されているため、同じ部署の人やデスク周りの人とのコミュニケーションが中心になりがちでした。一方、フリーアドレスは座席を固定せず、その日の気分や業務の内容に応じて最適な座席を選ぶことができるため、異なる場所や異なるプロジェクトメンバーとの交流が増えることも期待できます。
例えば、あるプロジェクトを進めるうえで、他の部署の知見やアイデアが必要になった場合であっても、気軽に座席を移動してアドバイスを求めることが可能です。こうした利便性の高さは、結果的にオフィスの生産性向上にもつながります。
効率的なスペース利用
フリーアドレス導入により、使用されていないデスクや無駄なスペースがなくなるため、オフィスの利用率が向上します。
例えば、フリーアドレス導入によってオフィスの利用効率を20%向上することができれば、新たな共有スペースを設置したり、他の業務に使えるスペースを社内に増やしたりすることも可能です。
また、従来のオフィスよりもコンパクトなオフィスにすることもできるため、コストを抑えてオフィスを構えることができます。これは、スタートアップ企業などリソースの限られた企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。
柔軟な働き方の実現
フリーアドレスは、テレワークやリモートワークといった新しい働き方との相性も抜群です。新型コロナウイルスのパンデミック以降、オフィスに出社をしないワークスタイルが増えたことに伴い、企業が社員一人ひとりのために固定席を用意する必要性が減っています。
固定席という従来のワークスタイルを手放すことで、オフィスの柔軟な利用が可能になっているのです。フリーアドレスの企業ならば、テレワークも導入しやすくなるでしょう。
社員のワークライフバランスの実現や、通勤時間の削減などのメリットにもつながっています。
セキュリティ意識の向上
フリーアドレスの導入によって自分のデスクを持たないことで、社員はこれまで以上にパソコンや書類などを正しく管理することが求められ、社員一人ひとりのセキュリティ意識が自然と向上していきます。
フリーアドレスのデメリット
フリーアドレスにはさまざまなメリットがある一方で、企業によってはデメリットが大きくなってしまう場合もあります。フリーアドレスの導入を検討する際には、以下のデメリットについても正しく理解しておくことが大切でしょう。
私物の管理問題
固定席が無くなることで、私物の管理が難しくなります。社員は毎日のようにデスクを移動するため、個人の荷物や文房具をどこに保管するかが課題となるでしょう。
ただし、このような課題は、社員一人ひとりに専用のロッカーを提供することで解決することができます。
座席確保のストレス
フリーアドレスは座席が固定されていないため、オフィスに出社する時間帯や日によっては、自分が希望する席に座れないこともあります。例えば、出勤前にお子さんを保育園に送る関係で、どうしても出勤がギリギリになってしまうこともあるはずです。そうした個々の事情に配慮しにくいことも、フリーアドレスのデメリットといえるかもしれません。これが常態化することによって、社員間での競争やストレスが生じる危険性もあります。
このような状況を避ける対策には、ピーク時の座席確保をスムーズに行うためのアプリなどのツールを活用し、前日から座席を予約できるようにするといった方法があります。
プライバシーの確保
フリーアドレスのオフィスでは、周りの目が気になることも増えるかもしれません。社員一人ひとりのデスクが固定されている従来のオフィスでは、パーティションや仕切りなどで容易に個室空間を確保することができました。一方、フリーアドレスの場合は原則としてそうした仕切りを設けず広々と空間を使うことが一般的なため、プライバシー確保の難しさがデメリットにつながることもあります。
そうしたリスクを回避するためには、静かに集中したいときのための個室やボックスシートなどを用意しておくと良いでしょう。
フリーアドレス導入のポイント
では、実際にフリーアドレスを採用する場合、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。フリーアドレスを導入する際の注意点や、成功のためのポイントを以下にまとめました。
社員への説明と理解
フリーアドレスを導入すると、オフィス環境は大きく変化するため、トップが独断で導入を決めてしまうことはおすすめできません。
フリーアドレスを導入する場合には、まずはその目的や背景、導入によって得られるメリットだけでなく、想定されるデメリットなどを全社員に向けて事前に説明しておくことが何よりも大切です。このワンアクションによって、社員の理解を深めることができ、スムーズな移行を実現することができます。
ルール作りと運用
また、フリーアドレスを導入する場合には、明確なルールを設定し、各個人が、ルールを守ることが最も重要かつ大切なポイントのひとつです。
自分のデスクを持たないということは、社員一人ひとりのモラルや気配りが求められます。導入後の大きなトラブルを避けるためにも、座席の選び方や私物の管理、デスクの片付けに関するマニュアルを事前に作成し、このマニュアルを基に新しいオフィスの利用方法を従業員全員で共有することが大切でしょう。
環境整備とフォローアップ
新しくオフィスを構えたり、移転したりというタイミングでフリーアドレスにする場合は、比較的スムーズな導入が可能でしょう。一方、既存のワークスタイルからフリーアドレスに移行する場合には、必要に応じて新しいオフィス家具や設備を導入しなくてはいけないケースもあります。社員への事前ヒアリングを参考にしながら、社員一人ひとりがより快適に働ける環境を実現しましょう。
また、フリーアドレス導入後は、社員が慣れるまではしばらくさまざまな問題が起こりやすいものです。フリーアドレスを導入して終わりにするのではなく、導入後も定期的に社員からのフィードバックを収集し、必要に応じて社員がストレスを感じることなく快適に働くことができるように、オフィス環境を改善する取り組みを行っていくことが大切でしょう。
まとめ - 自社に合った方法でフリーアドレスを導入しましょう
フリーアドレスの導入は、企業や組織の風土やニーズによって最適な運用方法が異なります。上記の事例やポイントを参考に、自社に合った方法でフリーアドレスを導入し、新しい働き方の実現を目指してください。
フリーアドレスの導入をご検討の際には、ぜひお気軽にACTUS for PROFESSIONALまでご相談ください。また、以下のページでは実際の施工事例をご覧いただけます。フリーアドレス導入の参考にしてみてください。